これから飲食店などを開業しようと物件を探し始めると、必ずと言っていいほど「スケルトン渡し」という言葉を聞くことになります。
「スケルトン渡し」の物件にはメリットもあればデメリットもあり、資金計画や開業時期、そして内装工事のパートナー選びにも大きくかかわってきます。
今回は「スケルトン渡し」で知っておきたいポイントを紹介します。
【目次】
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・スケルトン渡しとはどういう状態? 居抜きとは何が違う?
・知っておきたいスケルトン渡しのメリットとデメリット
・「居抜き」にもそれなりのデメリットはある
・「スケルトン渡し」で注意しておきたいポイントとは?
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■スケルトン渡しとはどういう状態? 居抜きとは何が違う?
「スケルトン渡し」とは、賃貸契約時に内装が何もない状態(スケルトン)で引き渡されることです。設備がないことはもちろん、仕上げもすべて剥がされフローリングやクロスもありません。天井・壁・床はコンクリート打ち放しのがらんどうの状態です。
「スケルトン」とは反対に、設備や什器などが揃った状態で引き渡されるのが「居抜き」です。
しかし言ってみれば「居抜き」は前の店舗のイメージもそのまま引き継がなければならないため、思い描く店舗デザインを実現しにくいもの。
スケルトンの物件はゼロから店舗デザインをつくりあげることができるので、イメージやコンセプトを具現化しやすいメリットがあります。
ただし居抜き物件と比較すると、内装工事の費用と開業までの時間を要することは、留意しましょう。さらに具体的に「スケルトン渡し」のメリット・デメリットを解説します。
■事業を大きく左右する! 知っておきたいスケルトン渡しのメリットとデメリット
「スケルトン渡し」のメリットとは、何と言ってもレイアウトを自由に変更できること。
原状回復されている物件とは異なり、ゼロからデザインができるので、店内のレイアウトや設備・什器も好みのものを入れることができます。最新タイプを導入すれば、人件費の節約につながる可能性もありますよ。
また接客・作業・来客の動線もゼロから組み立てられるため、店舗の運営形態にぴったり合わせた合理的な設計が可能です。そして欲しい設備を揃えられ、給排水など配管設備の制約も少ないので、店のコンセプトを精度高く実現できるのが大きな魅力です。
何もないところからスタートできるため、以前のテナントのイメージを払拭できるという特徴も。新しく顧客を開拓するうえでは頼もしいですね。
一方でデメリットとしては、初期費用が多くかかることが挙げられます。設備をすべて揃えるだけでなく、「居抜き」なら不要のガスや水道、電気などのインフラ整備も行わなければなりません。また内装工事もゼロからスタートするため、物件を購入したらすぐに開業、というわけにはいきません。
ただし、必ずしも「居抜き」よりも高くなるとは限りません。条件によっては「居抜き」より費用を抑えられることもあります。一部だけ修繕工事をするほうが、かえって工事が複雑になる場合もあるためです。
》他にはないオリジナルの店舗を!提案力のある内装工事業者に依頼するメリットとは
■「居抜き」にもそれなりのデメリットはある
急いで開業したいし、設備投資も抑えたい……という場合は「居抜き」物件を選びがちですが、落とし穴がなきにしもあらず。「居抜き」物件にも、それなりにデメリットはあるのです。前の店舗の内装デザインや什器・設備を流用するため、オリジナル・デザインを打ち出せず、店舗の個性を出せないということはもちろん、見落としがちなのが設備の問題です。
たとえば前の店舗がだいぶ前に閉店していたのなら、冷蔵庫やエアコンなどの設備が使われていなかった期間が長く、故障を起こしやすいリスクもあります。店舗用の設備は住宅用の設備に比べて高額なので、「居抜き」に飛びついたものの、結局、自前で設備を交換しなければならない、というのはナンセンス。
また店舗用設備は高額ゆえに、たいてい契約時に内装譲渡金を支払わなければなりません。
悪質なケースでは、実はこうした設備がすべてリースだった、ということもあります。リース会社が設備を回収してしまったら、高額な内装譲渡費を払ったにもかかわらず、すべてがムダになってしまうので、要注意です。
■「スケルトン渡し」で注意しておきたいポイントとは?
「スケルトン渡し」で注意しておきたいポイントは、大きく分けて二つあります。
それは、物件を借りるために内見する時と、店舗をクローズする時のことです。
まず内見時において、スケルトン物件は仕上げがすべて剥がされた状態になっています。物件によっては仕上げを剥がした跡が何重にもなって荒々しく残っているケースもあり、古い、あるいは、みすぼらしい、という印象を受けがちです。
しかし内装はリフォームで、理想の雰囲気をかなえられるので心配しすぎなくても大丈夫。
通常、物件を内見する際は不動産業者が立ち会いますが、不動産業者の役目は物件売買であり、理想の店舗にリフォームできるかどうかは判断できません。早い段階から信頼できる内装業者を決めて、物件購入の際はアドバイスを仰ぐと良いでしょう。
もう一つは、退去時にはまたスケルトンの状態にして返却しなければならないということ。
賃貸契約書には借主が負担する工事内容や修繕に関する義務が明記されているので、しっかり読み込みましょう。
店舗をスタートする時の内装工事が複雑であるほど、退去時のスケルトン工事にも費用がかかります。クローズする場合のことも想定して資金計画を見込んでおくと安心です。
とてもそこまで考える余裕もなければ知識もない……という方には、やはり早期段階で内装業者に相談するのが得策。
この物件なら水道・電気・ガスなどインフラ工事も見込んでスタートアップにどれくらいの費用がかかるか、また退去時の解体工事はおよそいくらくらいを見込んでおけばよいか、適切なアドバイスをしてくれることでしょう。
またスケルトン物件の内装計画は、白紙の上に思い巡らせていた絵を描くようなものなので、理想とコストが擦り合わないということも。
予算のなかで最大限コンセプトをかなえてくれる底力をもった、経験豊富な内装業者をパートナーに選ぶのが正解です。
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