開業前に押さえておきたい!内装工事の減価償却と耐用年数の知識

開業時に行う店舗の内装工事は、ある程度まとまった費用がかかります。実はこの費用は、一括で経費に計上して終わりではありません。なぜなら、資産の種類ごとに費用を分割して計上していく「減価償却」というルールがあるからです。ここでは減価償却の内容や注意点、償却の基準となる耐用年数について解説します。


【目次】

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・「減価償却」とは?

・減価償却に関わる「耐用年数」とは?

・適切な減価償却は節税になります!

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■「減価償却」とは?


減価償却とは、長期にわたって使用する高価な資産を取得した時、その費用を「耐用年数」に応じて分割・計上していく会計上のルールをいいます。たとえば、開業時に100万円の調理器具を購入した場合、その年度にまとめて100万円を計上することはできず、何年かに分けて少しずつ計上していきます。


では、なぜあえてこのような手法を取っているのでしょうか? それは、内装や調理器具のような有形固定資産の多くは何年も使い続けるものであり、だんだん経年劣化して価値が低下していくものだからです。


もし初年度に一括で経費を計上すると、その年だけ極端に経費が大きくなり、本来は黒字になるところが赤字になってしまう可能性もあります。一方、2年目以降は0円でその資産を使い続けることになります。つまり、収益と費用の関係性がおかしくなってしまうので、毎年の利益を正確に算出できません。


そのため、高額の調理器具や内装設備などを購入した時は、何回かに分けて経費として計上する=減価償却をする仕組みが設けられたのです。健全な経営のためにも、店舗を開業したら毎年しっかりと減価償却を行う必要があります。



■減価償却に関わる「耐用年数」とは?

次は、減価償却の基準となる「耐用年数」について見ていきましょう。耐用年数とは、資産が使用に耐えうる期間を種類ごとに定めたもので、正確には「法定耐用年数」といいます。たとえば、法定耐用年数が5年間の設備であれば、5年かけて減価償却を行います。そして6年目以降は、資産としての価値が0の状態になり、減価償却の必要がなくなるのです。


本来、費用というものは発生した分だけ計上するのが理想です。しかし、内装や調理器具といった有形固定資産は、劣化や損耗の度合いをはっきりした数値で表すことができません。そのため、あらかじめ法律で「このくらいの期間は使えるだろう」という基準を定めておき、それに従って減価償却ができるようにしているのです。


法定耐用年数は材質・大きさ・お店の業態などによって細かく分けられているため、購入した資産がどれに該当するのかは正確に把握しておく必要があります。飲食店を例にとって、主な資産の耐用年数を確認しておきましょう。


建物(木造・合成樹脂造のもの)…20年

電気設備(蓄電池電源設備以外)…15年

給排水・衛生設備、ガス設備…15年

応接セット(接客業用のもの)…5年

陳列だな、陳列ケース(冷凍機付・冷蔵機付のもの)…6年

電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気・ガス機器…6年

冷房用・暖房用機器…6年

食事・ちゅう房用品(陶磁器製・ガラス製のもの)…2年

食事・ちゅう房用品(その他のもの)…5年


なお、法定耐用年数はあくまでも減価償却のための基準ですから、それを過ぎたからといって必ず故障するわけではありませんし、廃棄しなければならないわけでもありません。内装設備や器具の物理的な寿命とは、分けて考える必要があります。



■適切な減価償却は節税になります!

減価償却は、少し面倒に感じることもあるかもしれませんが、実はいろいろなメリットもあります。特に大きいのは、適切な減価償却を行うと節税につながることです。減価償却費を計上すれば、その分だけ利益が減ることになりますから、納税額も抑えられます。


しかも、減価償却費は実際にキャッシュ(現金)を支払わない支出なので、キャッシュフロー計算書ではプラスに働きます。近年ではキャッシュフローの重要性が高まってきていますから、経営状況が健全であることの証明に役立ち、銀行からの融資なども受けやすくなるでしょう。


ただし、毎年一定額の支出が自動的に生まれる関係上、デメリットになる場合もある点に注意が必要です。高額の減価償却費が毎年発生すれば、決算が何年にもわたって赤字になってしまうかもしれません。前述したように、実際にキャッシュを支払っているわけではないのですが、表面的に「あの店は赤字続きだな」と思われかねないわけです。


そのため、店舗の内装工事を行う時は、減価償却のことも考慮してしっかりと計画を立てる必要があります。税理士はもちろん、この辺りの事情に詳しい施工業者にも相談して、理想的なお店を作りつつ正確な減価償却を行いましょう。



タカネザワナイソウ工業は千葉県流山市を拠点に、内装工事全般を手掛けております。商圏分析や売上予測、店舗デザイン・設計、コンサルティングなど、店舗出店の計画段階から広範囲なサポートが可能です。豊富な実績に基づき、常にお客様第一で満足度の高い施工をご提供いたします。関東エリアでの店舗開業でお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。



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